フラットコーテッドレトリーバーのスタンダード

スタンダードとは各犬種標準の事で、各犬種ごとに定められています。

犬種を理解するためには、とても重要です。

日本はFCI(国際畜犬連盟)の加盟国なので、FCIが定めたスタンダードに則ってドッグショーで審査されています。

FCIのスタンダードの原文はこちら(英語)をご参照ください。

 

JKC(ジャパンケネルクラブ)発行のスタンダードを下記に記します。

 

 

FCI スタンダード NO. 121

  • 原産国
    イギリス
  • 用途
    ガン・ドッグ
  • FCI分類
    グループ8 レトリーバー、フラッシング・ドッグ、ウォーター・ドッグ
    セクション1 レトリーバー
  • 沿革
    犬種としての歴史はそれほど古くはないが、展覧会に出陳されたのは早く、1860年のバーミンガム・ショーに参加。当時はウェービー・コーテッドと呼ばれ、波状毛で体形的にもラブラドールとの差異も少なかった。時代が進むにつれ、波状毛が徐々に平滑毛に変わり、フラット・コーテッドと呼ばれるようになった。
    祖先犬は小型のニューファンドまたはチェサピーク・ベイ・レトリーバーの小型のものと思われているが、ラブラドールとカーリー・コーテッドによったという説もある。当初は番犬として考えられていたが、その嗅覚がすぐれていたことから猟犬とすべく、重すぎる体重やバランスの改良がはかられ、犬種的な完成度が高められた。1864年の展覧会から他のレトリーバーと区別されるようになった。
    水中における鴨の運搬だけでなく、陸上においても獲物の回収犬として重宝がられている。
  • 一般外貌
    快活で活動的な中型犬である。利口な表情で、力強いが重々しくなく、細身ではあるがひょろひょろとはしていない。
  • 習性/性格
    天賦のガン・ドッグとしての能力を備えており、熱心な尾の動きからわかるように楽天的で友好的である。自信に満ちており、また優しい性格をしている。
  • 頭部(ヘッド)
    長く、形良く作られている。
    頭蓋部(クラニアル・リージョン)
     スカル
     平らで、ほどよく幅広い。
     ストップ
     両目の間に僅かに見られ、深すぎない。
    ・顔部(フェイシャル・リージョン)  
     ダウン・フェイスまたはディッシュ・フェイスの外貌は好ましくない。
     鼻(ノーズ)
     よい大きさで、大きな鼻孔を持つ。
     顎/歯(ジョーズ・ティース)
     顎は長く力強く、野ウサギやキジを運ぶことができる。歯は完全で、規則正しいシザーズ・バイトで、顎に対して
     垂直に生え、健全で力強い。
     目(アイズ)
     中位の大きさで、ダーク・ブラウン又はヘーゼルであり、たいへん利口そうな表情である(丸い出目は極めて望ま
     しくない)。斜めには付かない。
     耳(イヤーズ)
     小さく、しっかりと付き、頭部の両側に接する。
  • 頸(ネック)
    頭部としっかりと付き、程よい長さでスローティネスはない。均整が取れ、肩に斜めに付き、背に流れるように連なり、嗅跡を追うことを容易にする。
  • ボディ
    腰(ロイン)
     短く、スクエアである。オープン・カプリング(長く筋肉の発達が不十分なカプリング)は極めて好ましくない。
    ・胸(チェスト)
     深く、かなり幅広く、たいへん明瞭な前胸をもつ。前方の肋骨はかなり平らである。肋骨は十分後方へ伸び、適度に
     張っている。ボディの中央部ではよくアーチし、後方に行くに従ってアーチは緩やかになる。
  • 尾(テイル)
    短く、真っ直ぐで、尾付きはしっかりしている。陽気に保持するが、決して背上に高く保持することはない。
  • 四肢(リムズ)
    前肢(フォアクォーターズ)
     前足は真っ直ぐで、全体を通して良質な骨をもつ。
     肘(エルボーズ)
     胸に沿ってしっかりと動く。
    後肢(ハインドクォーターズ)
     しっかりと立つために筋肉質で、良い骨である。
     膝(スタイフル)
     適度に曲がっている。
     飛節(ホック)
     適度に曲がり、低く位置する。カウ・ホックは極めて好ましくない。
    ・足(フィート)
     丸く、力強く、指趾は緊握し十分にアーチする。パッドは厚く、頑丈である。
  • 歩様(ゲイト/ムーブメント)
    自由で流れるようである。前望及び後望すると真っ直ぐで、確実である。
  • 被毛(コート)
    ・毛(ヘアー)

     密生し、見事で、中位の長さで良質である。できるだけ寝ているのが好ましい。脚及び尾には十分な飾り毛がある。
     成犬の十分な飾り毛が優雅さを完全なものとする。
    ・毛色(カラー)
     ブラックまたはレバーに限る。
  • サイズ
    ・理想体高

     牡: 59㎝~61.5㎝
     牝: 56.5㎝~59㎝。
    ・理想体重 
     牡: 27㎏~36㎏
     牝: 25㎏~32㎏
  • 欠点
    上記の点からのいかなる逸脱も欠点とみなされ、その欠点の重大さは逸脱の程度に比例するものとする。
  • 失格
    陰睾丸。

 

参考文献 JKC全犬種標準書第12版
JKCの許可をいただいて掲載しています

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リニューアルする以前のホームページには、アメリカのスタンダードを掲載していました。

アメリカはFCI加盟国ではないので、独自のスタンダードがあります。

こちらも全文掲載したいところですが、とても長いので気質の項だけ載せます。

フラットの気質をとてもよく表しています。

 

  • 気質
    フラットコート種にとり、キャラクターは主要かつ顕著な財産となる。命令によく反応し、家族全員を愛し、多角的な作業犬として多才な才能を持ち、感受性に富み、賢明で嗅跡追及もできる。競技会では安定した実力と主人を喜ばせようという欲求を如実に示し、自信に満ち、陽気で人なつこく、尾振りのしぐさも見せる。神経質だったり、張り切り過ぎたり、無気力だったり、臆病だったり、頑固だったりしてはならない。
    重大な欠点 ― 理由もなく、人や他の動物に攻撃的な態度を見せるのはもってのほか。
    キャラクター ― キャラクターは明日の繁殖家にとって、個体評価の際に犬種標準のどの点にも劣らず重要な関心事である。フラットコート種は元来、家庭犬と猟犬、回収犬の3役を兼ねるもので、動作が機敏で鳥の所在をめざとく発見し、銃の届く範囲に獲物を追い立てることもする。もちろん水陸での徹底した回収作業はお手のもの。自信に裏付けされた旺盛な狩猟意欲を持ち、高地や水辺に棲むさまざまな種類の鳥を獲物に定め、周囲の状況に即応した、神秘的なまでの狩猟能力を持つものである。家庭犬としては感情が豊かで、警戒を怠らず、高い知性を持つ。また陽気で愛情に富み、人に慣れやすい。年を取っても若々しく上機嫌な雰囲気を失わず、また仕事への能力も失わない。成犬のフラットコート種は、通常番犬として用をなすが、生来の気のよさと楽天的な気性のため、むしろ誰とでも友達になりたがる。フラットコート種は快活で献身的な友であり、家族の一員として共に生活することを求め、それを喜ぶ。みずからの潜在能力をフルに発揮するためには、この犬は絶対的に人との強い絆と、愛情に満ちた互いの触れ合いを必要としているのだ。

参考資料 「犬の辞典」原著者 アメリカン・ケンネル・クラブ

翻訳 発行 (株)ディーエイチシー

 

ディーエイチシーさんに許可をいただいて掲載しています

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